1~5人用のインディーズ屈指の重量級ボードゲーム『異世界ギルドマスターズ』を紹介します。
ゲーム概要
『異世界ギルドマスターズ』は、受付嬢とともに世界一の冒険者ギルドを作り上げることを目指すファンタジー系の超アッパー系拡大再生産ゲームです。
受付嬢とともにギルドを発展させて文明レベルを上げつつ、迷宮を攻略して名声を得て、最終的に文明が所定のレベルに達した時点で名声点が最も高いプレイヤーが勝利となります。
(ソロプレイの場合はどれだけの名声を得られたかでギルドランクを決定します。)
ギルドを発展させるために手札のイベントカードをプレイして生産力やアクションを増やし、増えた生産力で得た資源でさらにカードをプレイします。
序盤はプレイできるカードやアクションが少ないですが、繰り返しプレイすることで徐々に(最終的には爆発的に)プレイの幅が広がっていきます。
また、雇った冒険者や資源を使って迷宮探索を行い、宝物や名声を得て、さらに違ったカードをプレイできるようになります。
エリアマジョリティの要素により他プレイヤーとの駆け引きも重要となるため、どのアクションをどの順番で行うかの戦略が必要なゲームです。
2人プレイでも80cm×80cm以上の場所はあった方が良いと思います。
作品データ
タイトル | 異世界ギルドマスターズ |
メカニクス | |
デザイン | System: 蜂月 Art: アイダモ |
プレイ時間 | 120分~180分 |
プレイ人数 | 1~5人 |
対象年齢 | 12歳以上 |
発売元 | 六角えんぴつ |
発売時期 | 2019年秋 |
定価 | 9,000円(税込)※ |
外箱の外寸 | (約)31cm×22.3cm×5cm |
※定価はゲームマーケット価格。一般流通の価格は10,500~12,000円ほど。
内容物
・メインボード 1枚
・ギルドボード 5枚(2枚1セットで計10枚)
・レガリアボード 1枚(裏面はチュートリアルマップ)
・ソロプレイ用レガリアボード 1枚
・スタートプレイヤーマーカー 1個
・迷宮タイトル 48枚
・ボスタイル 3種3枚
・無地タイル 9枚
・イベントカード 105枚
・レガリアカード 16枚
・出会いカード 6枚(裏面は上下逆の「本日閉店」)
・受付嬢カード 18枚
・「偵察」ルールカード 1枚
・数字チップ 117枚(1点×60枚、2点×20枚、5点×20枚、10/20点×17枚)
・冒険者チップ 35枚(5色×各7枚)
・宝物チップ 5枚(5種×各1枚)
・ターンチップ 1枚
・文明チップ 1枚
・瘴気濃度チップ 1枚
・レガリアチップ 3枚
・使用済みチップ 15枚
・使用不可チップ 2枚(2~3人プレイ用)
・フラグチップ 3枚(追加ルール用)
・偵察隊チップ 5枚(5種×各1枚、追加ルール用)
・プレイサマリー 5枚
・説明書
カードスリーブ
『異世界ギルドマスターズ』のカードサイズと枚数、それに合うスリーブは次の通りです。
カードサイズ | 63×88mm |
カードの枚数 | 146枚 |
スリーブサイズ | ポーカーサイズ |
※「偵察」ルールカードを除く。(カードサイズ:55×91mm)
ポーカーサイズ用のスリーブをみる
ポーカーサイズ用のスリーブを5種類紹介します。
①ホビーベース T.C.G. ハード
タイプ | サイズ/厚み | 入数 |
---|---|---|
ハード | 66×91.5mm/0.1mm | 50枚 |
②エポック レギュラーサイズ・ハード
タイプ | サイズ/厚み | 入数 |
---|---|---|
ハード | 66×92mm/0.1mm | 80枚 |
③エポック レギュラーサイズ・ソフト
タイプ | サイズ/厚み | 入数 |
---|---|---|
ソフト | 66×92mm/0.05mm | 110枚 |
④Engames スタンダードサイズ・ハード
タイプ | サイズ/厚み | 入数 |
---|---|---|
ハード | 65×90mm/0.1mm | 100枚 |
⑤Engames スタンダードサイズ・ソフト
タイプ | サイズ/厚み | 入数 |
---|---|---|
ソフト | 65×90mm/0.05mm | 100枚 |
ルール詳細
ゲームの準備
準備にかかる時間は15分程度です。
2~5人プレイの場合
- プレイ人数から使用するマップを決める。
- 文明チップ/瘴気濃度チップ/ターンチップをマップ上に配置する。
<配置場所>
文明チップ:瘴気トラックの「1」
瘴気濃度チップ:瘴気トラックの「プレイ人数×10」の位置(5人時は40)
ターンチップ:ターントラックの「冬」 - ボスタイルおよび迷宮タイルをマップ上に裏向きで配置する。その後、初期公開タイルを表に向ける。(初期公開タイルの位置はマニュアル参照)
- レガリアボードにレガリアカード(3枚)と、レガリアチップ/宝箱チップを配置する。
- 全員の取りやすい場所に数字チップ/使用済みチップ/無地タイルを置く。
- (2~3人プレイ時のみ)使用不可チップを秘薬アクションに配置する。
2人時:「ゴールド×8」「パワー×2」が使用不可
3人時:「パワー×2」が使用不可
※この秘薬アクションはゲーム中一切使用できない。 - 各プレイヤーは自分のギルドボード(2枚セット)に冒険者チップを配置する。
※<受付>に5枚、<冒険者の酒場>に2枚 - 各プレイヤーに出会いカードと対応する受付嬢カード(3枚セット)を配る。
- 各プレイヤーにイベントカードを8枚とレガリアカードを2枚ランダムに配る。
- 各プレイヤーはイベントカードを確認して、好きな枚数を手札に加えて、その他のカードは裏向きで捨て札にする。
- 各プレイヤーは受付嬢カードの「白面」「黒面」のどちらを使用するか選択する。
※ゲーム中は変更できない。
※「白面」は内政(イベントのプレイ)向き、「黒面」は迷宮探索に向いている。 - 各プレイヤーは受付嬢カードを「ランク1」を1番上にして重ねて<カウンターの内側>に配置する。
- 各プレイヤーは受付嬢カードの「初期資産」を全て受け取る。その後、手札に加えたイベントカード1枚につき「3ゴールド」を支払う。
※「初期資産」で獲得したカードや、レガリアカード分のゴールドは不要。 - スタートプレイヤーにスタートプレイヤーマーカーを渡す。
1人(ソロ)プレイの場合
- 文明チップ/瘴気濃度チップ/ターンチップを六角形マップ上に配置する。
- <配置場所>
- 文明チップ:瘴気トラックの「3」
- 瘴気濃度チップ:瘴気トラックの「20(初級)」または「25(上級)」
- ターンチップ:ターントラックの「冬」
- ★4のボスタイルおよび迷宮タイルをマップ上に裏向きで配置する。その後、初期公開タイルを表に向ける。(初期公開タイルの位置はマニュアル参照)
- ソロ用レガリアボード上に宝箱チップと、各レガリアに未使用の迷宮タイルを配置する。
- 使用不可チップを以下の秘薬アクションに配置する。
- ・「パワー×2」「イベントカード×2, 文明+1」
- ギルドボードに冒険者チップを配置し、受付嬢を決定する。
- イベントカードを8枚受け取り、内容を見てから1度だけ0~5枚を選び、捨て札にして引き直す。その後、好きな枚数を手札に加えて、その他のカードは裏向きで捨て札にする。
- 受付嬢カードの「白面」「黒面」のどちらを使用するか選択する。
- 受付嬢カードを「ランク1」を1番上にして重ねて<カウンターの内側>に配置する。
- 受付嬢カードの「初期資産」を全て受け取る。その後、手札に加えたイベントカード1枚につき「3ゴールド」を支払う。
- ※「初期資産」で獲得したカードや、レガリアカード分のゴールドは不要。
ゲームの流れ
以下の4つのステップを順番に行います。(生産フェイズ、終了フェイズは全プレイヤー同時に行う。)
1.情報収集フェイズ(1ターン目は行わない)
2.アクションフェイズ
3.生産フェイズ
4.終了フェイズ
1.情報収集フェイズ(1ターン目は行わない)
各プレイヤーはスタートプレイヤーから順番にイベントカードを山札から4枚ずつ受け取る。
イベントカードを確認して、好きな枚数を手札に加えて、その他のカードは裏向きで捨て札にする。その後、手札に加えたイベントカード1枚につき「3ゴールド」を支払う。
山札が尽きた場合、捨て札をシャッフルして新しい山札を作る。
2.アクションフェイズ
スタートプレイヤーから時計回りに「アクション(A~E)を1回行う」か「パス」を宣言する。
全員がパスするまでアクションフェイズを繰り返し行う。
パスしたプレイヤーは出会いカードを裏返し(「本日閉店」の表示)、そのターン中はアクションを行うことができない。
また、各プレイヤーはどんなタイミングでも以下のレートでゴールドを得ることができる。
A.イベントカードのプレイ
カードごとに必要なコスト(ゴールド)を支払うことで、手札からイベントカードをプレイすることができる。
カードをプレイすることで資源やイベントカードを得たり、生産力やゲーム終了時に得る名声が増加したり、文明レベルを増減させるなどの効果を得る。
カードによっては追加のコストが必要であったり、条件(プレイ済みのカード枚数、迷宮タイルの所持数など)を満たさないとプレイできないカードがある。
B.レガリア/グローバルレガリアのプレイ
イベントカード同様に、プレイ条件を満たして必要コストを支払うことで、手札またはレガリアボード上のレガリアカードをプレイすることができる。
レガリアカードはプレイする条件は厳しいが、ゲーム終了時に大きな名声を得ることができる。
C.共通アクションの使用(探索/発展/建設)
以下の共通アクションを選択して行う。
探索
迷宮マップの外周、または自分の支配エリアに隣接している迷宮タイル1枚を公開する。
公開した迷宮タイルに指定されたコストを支払うことで迷宮タイルを獲得し、代わりに<冒険者の酒場>から冒険者チップを配置する。
迷宮タイルを獲得することで☆の数に応じた瘴気濃度を減らしたり、生産力や資源を得たり、時には宝物を得ることができる。
発展
ギルドボードの<受付>の「好感度」タグを好きな数だけ解放し、冒険者チップを<冒険者の酒場>に配置する。
好感度タグの解放には、それぞれコストを支払うか、条件を満たす必要がある。
好感度タグを解放する度にイベントカードを1枚、山札から手札に加えることができる。
また、好感度タグを2個または5個解放するごとに受付嬢がランクアップして、ランクアップ報酬を得る必要がある。
建設
15ゴールドを支払い「拠点化」を行う。
拠点化を行う場合、迷宮マップ上の任意の冒険者チップ1枚を裏返し、「拠点」にする。
このとき、拠点化するエリアに隣接する他の拠点1つにつき、追加コストとして5ゴールドを支払う必要がある。(自分の拠点を含む)
拠点化することで、ゲーム終了時の支配エリアの名声が2倍になり、隣接エリアが探索された時に1ポーションを獲得することができる。
D.秘薬アクションの使用
マップボード右側にある6種類の秘薬アクションから選択してプレイすることができる。
秘薬アクションをプレイするには指定された個数の支払う必要がある。
E.イベントカードの〔特別アクション〕の使用
イベントカードに記載された〔特別アクション〕をプレイすることができる。
特殊アクションのプレイはターン中1回のみで、一度使用したら「使用済み」チップをカード上に配置する。
3.生産フェイズ
各プレイヤーは、ゴールド/パワー/ポーションをそれぞれの「生産力」と同じだけ獲得する。
その後、季節に応じた追加生産物を獲得する。
4.終了フェイズ
- 全員の「本日閉店」表示の出会いカードを表向きに戻す。
- 秘薬アクションボードから使用済みチップを外す。
- 〔特別アクション〕から使用済みチップを外す。
- ターンマーカーを1つ右の季節に進める。(秋の次は冬に戻る)
- スタートプレイヤーマーカーを左隣の人に渡す。
- 次ターンの「情報収集フェイズ」を開始する。
ゲームの終了
アクションフェイズ中に瘴気トラック上の「瘴気濃度」と「文明」が隣接したら、そのアクション終了時にフィニッシュフェイズに移行します。
※まだ「パス」を行っていないプレイヤーが残っていても、アクションフェイズは終了する。
フィニッシュフェイズ開始時に以下の処理を行います。
- すべての「パス」を行っているプレイヤーは出会いカードを表返す。
- 全てのプレイヤーは強制的にギルドボードの<ゴールド生産力>から20ゴールドを<ゴールド所持数>に移す。(生産力が20未満の場合は全てを移すこと)
次の手番のプレイヤーから時計回りに1回ずつアクションを行い、全員が2回ずつアクションを行うか、パスを宣言したらゲーム終了となります。
ゲームが終了した時点で、最も多くの名声を獲得していたプレイヤーが勝利となります。
名声が同点の場合は、以下の順で多い方が勝利となります。
①持っている「拠点」の数
②迷宮マップに配置している冒険者の数
③プレイ済みのイベントカードの枚数(裏向きも含む)
また、得られた名声によってギルドランクが決定します。
感想
1~5人で遊べる重量級のボードゲーム『異世界ギルドマスターズ』を紹介しました。
105枚あるイベントカードは全てユニークでプレイできる条件や効果が異なっており、受付嬢や迷宮タイル、レガリアカードが変わる度に戦略も変わるため、リプレイ性がとても高い点が魅力です。
また、追加ルールもいくつか用意されているため、最初はルールを覚えるのが大変ですが、ルールを覚えてゲームに慣れると何度もプレイしたくなるような楽しさを感じられると思います。
さらに、ほぼ全てのカードにフレーバーテキストがあり、ファンタジーの世界観に没入できるようになっているのも刺さる人には嬉しい点になっています。
アークライト社から発売されている『テラフォーミング・マーズ』に類似している印象を持たれる方が多いようですが、実際のプレイ感覚は全くの別物と言えるかと思います。
個人的に残念に感じた点として、ギルドボードやレガリアボードが薄目の厚紙だったり、チップが全て紙製である等、コンポーネントの質を考えると若干の割高感が否めません。
また、人数が多いとイベントカードが足りなくなり、後半になると何度も山札の作り直しが必要となるためゲームのテンポが損なわれます。また、同じカードを何度も引いては捨ててを繰り返すことになるのもいまいちでした。(この点は拡張を追加することで解消されます。)
中にはアニメ調のイラストが苦手と思われる方もいるかもしれませんが、ゲームシステムはかなりしっかりしているため、機会がありましたら是非プレイしてみてください。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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